P・D・ジェイムズ著の刑事ドラマ『刑事ダルグリッシュ』の『黒い塔』は、体の不自由な方向けの療養施設が舞台の物語です。施設の利用者を演じた役者さんの中には、実生活でも車椅子ユーザーの方が3名いらっしゃいます。プロフィールや生い立ち、出演作品などを見ていきましょう!
刑事ダルグリッシュ 黒い塔 シャノン・マレー(アーシュラ役)のプロフィール、生い立ち
生年月日:1976年12月12日
出身地:アイルランド ダブリン
シャノン・マレーはアイルランド生まれのイギリス ロンドン育ち。父親はイギリスのロックバンド『ザ・ポーグス』やアイルランドのロックバンド『シン・リジィ』のマネージャーでした。
シャノン・マレーの母親も音楽関係に携わっていたこともあり、シャノン・マレーは幼少期から演技に興味を持ち、8歳でロンドンの舞台芸術学校に通い出します。
アーティスト一家の出身ですね。個人的には、父がロックバンドのマネージャーなんて素敵すぎると思います!
ところが14歳の時に運命を変える出来事が!交通事故に遭い、主に首の損傷が原因で下半身不随に。もし私が彼女の立場だったら、悲しみ、悔しさ、怒り…言葉にならないと思います。
しかしシャノン・マレーは両親の心強い支えもあって決して塞ぎ込ませんでした。事故当時を振り返りこんなコメントを。
「泣きながら何年も過ごしてないわ。もっと悲惨な状態になっていたかもしれないし、だからこの程度の損傷で済んで良かったと思ってる。いつもポジティブに考えてるのよ。」
本当にポジティブですね!ご両親のサポートがやはり大きかったと私は思います。
体の障がいを隠すのではなくそれを受け入れること、そして体の一番好きなパーツを見つけて、そこを強調するようなスタイルにすることが大切、と語ります。さらに、
「障がいがある方への一番のアドバイスは、ご自分の障がいを平然と話せるようになることよ。あなたのことを知らない人たちは、ジロジロ見たり、なぜ体が不自由になったのか聞いてくるかもしれない。そんな時は失礼な態度を、と思わずにその人に障がいについて教えてあげる良い機会だと思えばいい。」
メンタルが本当に強い方だと思います。この言葉の通り、シャノン・マレーは事故から4年後、18歳で女性障がい者のモデルコンペで優勝します。
34歳で、障がい者のモデルとしてイギリスで初の街の大通りに掲げられる広告のモデルに起用されました。
私が障がいをお持ちの方に言える立場じゃないですが、少しづつでも自分を受け入れると、新たな人間関係や生き方を発見できると思います。
シャノン・マレー(アーシュラ役)の出演作品
シャノン・マレーは女優としても大活躍中。ロンドンの有名な演劇学校Royal Academy of Dramatic Artで演技を学び、様々なテレビドラマに出演。主な出演作品をリストアップしました。
≪テレビドラマ≫
・『カジュアリティー』 (2005-2014)
・『クラス-ねらわれたコールヒル高校-』(2016)
・『ホルビー・シティ』(2018)
・『法医学捜査班 silent witness』(2019)
・『刑事ダルグリッシュ』(2021)
・『ウィッチャー』(2021)
『法医学捜査班 silent witness』で共演のリズ・カーも、関節拘縮症のため14歳から車椅子ユーザーです。
リズ・カーは女優、コメディアンとしてだけでなく、障がい者権利運動にも大きく関わっています。シャノン・マレーが尊敬する女優の一人なんです。
障がいを持った俳優や女優は、私の知る限り日本にはいないと思います。日本でも、彼女たちのように活躍できる風潮になるべきだと私は思います。
シャノン・マレーは大学で法律を学び、弁護士資格もあるとても有能な女性。将来的には、リズ・カーのように障がい者権利運動に積極的に参加すると私は思います。
刑事ダルグリッシュ 黒い塔 ストゥーム・トゥーリス(ジェニー役)のプロフィール、生い立ち
生年月日:1992年11月26日
出身地:イギリス ロンドン
ストゥーム・トゥーリスの父はジャーナリスト兼映画監督、母はライター兼ジャーナリスト。脳性小児まひで生まれたストゥーム・トゥーリスですが、幼少期からの夢は女優になること。
演技を学ぶため13の大学にアプライしましたが、演技の講義は聞けても舞台やホールには上がれない、と言われたことも。
こんな事を言われてストゥーム・トゥーリスは相当ショックを受けたと私は思います。しかし彼女は諦めずアプライを続けました。
最終的にケント大学に進学し、演劇と英語学を専攻。この大学の演劇学部長も、初めは車椅子ユーザーからのアプライに驚いたようですが、そんな概念を変える良い機会と捉えたのでは、と私は思います。
ストゥーム・トゥーリスは女優として活躍しながら、障がいのある役者が同じような役しか演じられない風潮に否定的で、彼らを支持する発信も続けています。
「ほとんどの障がいのある役者が演じているのは、交通事故の被害者とか入院患者、あとはからかわれる役よ。ごく普通の人を演じたいわよね。」
確かに”犠牲者”の印象をどうしても持ってしまうと私も思います。私の意見ですが、実際はそういう方ばかりじゃなく、事故や病気がその方の人生すべてでもありません。
ストゥーム・トゥーリスのこういった発信で、そのあたりの概念が変わって行くと私は期待しています。
性的マイノリティと一緒ではないのですが、カミングアウトに勇気を振り絞った、と話す役者はけっこういます。私の印象ではハリウッドは本当の意味でDiversityは未だ根付いていないのでしょう。
ストゥーム・トゥーリス(ジェニー役)の出演作品
≪映画»
・『インビトゥウィーナーズ/思春期まっただ中』(2011)
≪テレビドラマ≫
・『ニュー・トリックス~退職デカの事件簿~』(2013-2014)
・『刑事ダルグリッシュ』(2021)
ストゥーム・トゥーリスは、とても独特な雰囲気のある女優だと思いませんか?? 私は3人の役者さんの中で一番好きだし、気になる役者さんです。
ただこれまでの出演作品の中では、彼女の魅力がまだ全開していないのが少し残念だなと思います。今後の活躍に期待ですね。
刑事ダルグリッシュ 黒い塔 ジョージ・ロビンソン(ヘンリー役)のプロフィール、生い立ち
生年月日:19976年12月12日
出身地:イングランド ノッティンガム
ジョージ・ロビンソンは8歳頃から演技に興味を持ち、学校演劇に積極的に参加。ラグビーにも夢中でしたが、17歳の時、試合中に脊髄を損傷してしまいます。
手術や10カ月に及ぶリハビリの甲斐なく、四肢麻痺になり、電動アシスト型の手動車椅子を利用する日常となりました。
10か月もリハビリしてのですね。それでも四肢麻痺とは、言葉に出来ない辛さだと私は思います。
それでも19歳で高校を卒業し、バーミンガム大学に進学。そこで俳優としての可能性を模索する中、Netflixの超人気ドラマ『セックス・エデュケーション』の出演が決まります。
あるインタビューの中で障がいを持つ特に若者にこんなメッセージを。
「君たちは価値ある人間だよ。だから生きていて申し訳ないなんて思う必要ない。」
役者を目指す障がいのある人たちにはこんなメッセージを。
「行動するだけさ!自分の殻を破ってみるんだ。そうすれば人は見てくれるし尊敬してくれる。清水の舞台から飛び降りれば、何も君を止められない。だから思いっきりやるだけさ。」
ここまで言えるようになるには、相当な周りからのサポート、彼自身のマインドの変化や人生に対する考え方の変化があったと私は思います。
役者志望者や障がいの有無に関わらず、コンフォートゾーンを抜け出して新しいチャレンジをするのは尻込みするもの。そんな時はこの言葉を思い出したいと私は思いました。
ライアン・ゴズリングの大ファンというジョージ・ロビンソン。いつか共演作品を観たいものです。『セックス・エデュケーション』で共演したエイミー・ルー・ウッドが彼女との噂がありました。
これはあくまでも噂で、今は俳優としてのキャリアが第一優先だと私は思います。
ジョージ・ロビンソン(ヘンリー役)の出演作品
≪テレビドラマ≫
・『刑事ダルグリッシュ』の『黒い塔』前編、後編 (2021)
・『Perfect』(2022)
・『セックス・エデュケーション』(2020-2023)
『セックス・エデュケーション』ではちょっとナイーブな高校生を演じていて、私は胸キュンでした!あの純粋な眼差しは演技ではなく、彼自身の本当の姿なんだと私は思いますね。
3人とも本当にポジティブな生き方なのが私には驚きでした。今後も映画やドラマで活躍してもらいたいです。
繰り返しになりますが、日本でも障がいのある役者さんがもっと活躍できると素晴らしいと思います。
日本にも素晴らしいドラマや映画は多くありますが、海外のこういった面を取り入れべきだと私は思います。
・『黒い塔』のネタバレなしあらすじ(前・後編)<解説>グレースが狙われた意外理由なとは?キャスト、P・D ジェイムズの生い立ちはこちらから!
今日も最後までお読みいただきありがとうございました。
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